「二月の勝者」です。完結してしまいさびしく感じる一方で、一緒に卒業したようなすがすがしい気持ちもします。
ストーリーに感動しただけでなく、塾や中学校の知らなかった面もたくさん描かれていました。
受験期間中、折にふれては読み返した、まさに中学受験のバイブルでした。一部ネタバレあります。
当日の合格発表を支えるのは
わが子の受けた学校にもありましたが、受験した当日に合格発表をする学校が増えています。
マークシート方式でもないのに、なんでそんなに早くできるの?と疑問に思っていました。
その仕組みが、二月の勝者にしっかり描かれていました。
スピード採点を可能にするのは、人海戦術、関係者たちの頑張りだという、アナログな方法でした。
先生方が大勢スタンバイし、時間を気にしながらもきっちりと採点していく。採点したものをさらにチェックしたり、部分点をつける解答には、複数で話し合いを持ったりしていました。
すべての学校が同じではないでしょうが、やはり採点にも学校のカラーが出るのだと思います。
試験が終わってから、先生方の怒涛の採点を想像すると、私はなんだかあたたかい気持ちになりました。
こどもたちの一生懸命な解答をしっかり見てくれていると思うと、発表までの時間も緊張が少しだけやわらぎました。
悲喜こもごも
合否が発表されると、当然ですが、ひとりひとり結果はちがって受け止め方もまったく違います。
二月の勝者ではそのひとりひとりの複雑な心の揺れがこまやかに描かれていました。
ひとりとして同じこどもも親もいません。
まわりの意見やうまくいった人の情報に翻弄されそうになるたび、このストーリーに出てくるこどもたちのさまざまな場面を思い出しました。
ずっと調子のいい人なんていないし、自分でも気づかない穴に落ちることもある、いつのまにか気持ちが変わっていることもある…。
心を一か所に縮めてしまわないためにも、私はこの漫画を読み返していたように思います。